姉ちゃんがコーヒー豆を買ってきてくれたので、コーヒーをいれる。いつものグリーンズロースターの豆。今週はマンデリン。いま、23時52分。今日は、頼まれて、ほぼいちにち、大中小3枚の板に水多めのジェッソを塗る→400と書いてあるやすりでこする→水多めのジェッソを塗る→600と書いてあるやすりでこする→水多めのジェッソを塗る→800と書いてあるやすりでこする→水多めのジェッソを塗る→1000と書いてあるやすりでこする→水多めのジェッソを塗る→1200と書いてあるやすりでこする。ジェッソってなんだ?と思ったら、キャンバスに塗る下地らしい。こういう、手作業でちょっとずつきれいに仕上げていく、みたいな作業はふだんまったくやらないので、新鮮。というわけで、おにぎり休憩にKAVC1階のチラシ置き場をうろついていると、「ミュージックメイト 音楽部門 スタッフ募集」と書いてあるチラシがあり、「パソナが仕事と音楽の両立を支援」と書いてある。ヴァイオリニストの写真が載っていたり、「Classic」「Jazz」「J-pop」とか書いてあったりする。「仕事 WORK×音楽 MUSIC 2つの才能を磨きOnly1になる」とか書いてある。あーあー、とうとうこういうのが出てきたか、と思い、手にとってみると裏面には「ミュージックメイト 演劇部門 スタッフ募集」と書いてあり、「パソナが仕事と演劇の両立を支援」とも書いてある。派遣労働を斡旋し、なおかつ音楽活動の面でもサポートしてくれるそうだ。「●割引サービスなど、経済面でサポート!●ステージ経験&プロモーションサポートで活動促進!●演奏技術&パフォーマンス力アップのためのイベント企画!」とのこと。音楽と演劇をやっている人に派遣で働きながら活動している人が多いから、それならばそういう仕組みをつくってしまえば、若くて使い勝手のよい(文句を言わない、なぜなら仕事以外の「やりたいこと」が生きがいだから)労働力を集められるじゃないか、という目論見なのだろう。あらあら。ぜひとも山本握微さんに説明会に行ってもらって批判してもらいたいところ。「普通芸術家」を標榜する握微さんは正社員だけど。説明会では「仕事と音楽(演劇)を両立する担当者より、残業無、シフト制や週3〜4日勤務など活動スタイルに合わせた働き方をご提案させていただきます♪」とのこと。いま思ったのだけれど、活動サポートのなかの「割引サービス」っていったいなんの割引なんだろう。と思って、サイトを探してみた。あった。http://www.pasona.co.jp/job/career/ability/musicmate.html おおー、チラシではぼやかしてあったことが、いろいろ書いてあるぞ。コピペ。

「ミュージックメイト 音楽部門」とは

「お仕事」と「個人の音楽活動」の両立をサポートする『音楽家就労支援事業』です。


【事業内容】
1. WORK : 人材派遣での就労サポート
 1.音楽活動との両立を可能とするお仕事のご紹介
 2.充実した福利厚生サービスのご提案


2. MUSIC : 音楽に特化した福利厚生「ミュージックサポート」
 1.経済面からのサポート:音楽スタジオや調律サービスなどを会員価格でご提供
 2.経験値・知名度アップサポート:コンサートやライブへの出演機会の提供、プロモーションをサポート
 3.技術力アップサポート:オーディション(実力テスト)の開催


ミュージックメイト9月説明会の詳細はこちらから

セルフプロデュースコンサート受付中!詳細はこちらから

おお、そうですか。やっぱりそうか。「音楽スタジオや調律サービスなどを会員価格でご提供」、「コンサートやライブへの出演機会の提供」、「セルフプロデュースコンサート(ミュージックグルメ船「コンチェルト」のイベントホールを優待価格で使用し、自分だけのコンサートが出来るプラン)」という「サポート」内容からも分かるように、このことは、派遣会社が、そこに登録して働いている人間の収入と支出をほぼ完全にコントロールするということだ。言うまでもないけれど、ふつうに考えて、音楽スタジオや調律サービスやセルフプロデュースコンサートに支払われるお金の何割かは、派遣会社にまわることになる。なんの見返りもなしに派遣会社が客を紹介するわけがない。派遣会社と音楽スタジオや調律サービスやミュージックグルメ船「コンチェルト」は繋がっている。つまるところ、派遣会社で働いて得たお金を、派遣会社が提供する「活動サポートサービス」に支払って「活動する」ということになる。派遣会社に登録して働いて得たお金が派遣会社に入っていくことになる。金銭の動きが派遣会社の掌の上で完結し循環する。すごい!マトリックスみたい!欲望も労働も一括コントロールされている!労働力も消費も欲望もコントロールされている!!派遣会社が有名なライブハウスをこっそり買収して、その派遣会社に登録しているミュージシャンを優待価格で出演させたりすれば、さらによい感じだ。派遣会社がインディーレーベルを立ち上げて、CDをリリースするのもよいな!派遣会社のつくった街に住み、派遣会社に登録して派遣で働き、派遣会社の経営するマンションに家賃を払い、派遣会社の経営するスーパーで買い物をし、派遣会社の経営する娯楽施設で遊び、派遣会社の経営する結婚相談所で結婚相手と出会い、派遣会社の経営する幼稚園に子どもを通わせ、子どもが大きくなったら親と同じ派遣会社に登録する、ってのもありだな。すごい!マトリックスみたい!人間が、経済という大きな流れの新陳代謝、ひとつの器官でしかなくなっている。もちろん、働かないわけにはいかないし、つまり人間の身体的欲求には従わないといけないし、派遣という働き方がおかしいということでもないし、「夢」とか「やりたいこと」とかいうものでさえ、経済の循環に取り込まれていくし、そもそもすでに取り込まれている、というややこしさ。別にそれでいいといえばいいのだけれど、なんか腑に落ちない。そもそも「夢」とか「やりたいこと」を持ってないとダメみたいな雰囲気はいったいなんなのだろうか。「夢」とか「やりたいこと」というモチベーションを与えられて、私たちは働かされようとしているのだろうか。それはなんのために?