いま一瞬チラ見したNHKに「スポーツ雪合戦」というものが映っていて、体育館みたいなところで、段ボールの壁というか塀に隠れながらプロテクターに身を包んだ人たちがテニスボールを投げあっていた。もちろんもうそれは雪合戦ではないけれど、たしかに雪合戦でもある。プロテクターとテニスボールは、丸めて投げて当たっても痛くない、という雪の性質を方法として表現したもので(不細工ではあるけれど)、とにもかくにも雪合戦の本質は雪の性質にあるのではないか。さっきまでNHKでやっていたスタジオパークにこんにちはに出ていた桂吉弥さんが落語をやっていて、紅茶を入れながらパンを焼きながら見ていたのであまりちゃんと見ていないが、長崎で有名な「ちりとてちん」というものがあって、その「名」「音(おん)」だけが一人歩きする、というものだったように私には思われて、登場人物たちは「ちりとてちん」がなにか分からぬまま翻弄されていくのだけれど、この感じはイルクーツク2にはいっているいしいしんじさんの「塩浄瑠璃」に出てくるスティーマーなるものとまったくおんなじで、「塩浄瑠璃」にはスティーマーなるものが何かということは一切書いてなくて、スティーマーなるものは何をしたかしか書いてないので、結局スティーマーなるものが何かということは分からないのだけれど、スティーマーなるものはこういうことをするものらしい、というのは分かる。いしいしんじさんは「ぶらんこ乗り」と「ポーの話」しか読んでなくて、しかももう売ってしまって手元にないのだが、いしいしんじさんはこの世ならざるものを描くのがとてもうまいなあと思った。「ぶらんこ乗り」もそうだし。と思ったら「スポーツ雪合戦」は体育館でやるものではなくて、本来はただの雪合戦にルールがあるもののようで、雪のない地域では、そういうふうにやっているというだけのようだった。福居伸宏さんの「Übungsplatz〔練習場〕」マット・マドン「コミック 文体練習」がとりあげられていて、そういえばちょっと前に口笛文庫でこれ見ました。レーモン・クノー「文体練習」のコミック版!?と思ってパラパラめくった記憶があるので。まだあるかは不明ですが。これらは1つのはなしが99通りの方法というか形式で語られるわけですが、1つのはなしが少しずつかたちを変えながら繰り返されるのが私のばあちゃんのはなしで、15時15分ごろ女医さんに歯磨きの仕方を教わる。一本ずつ磨くことが大事。待合室から処置室に入ったときにちょっといちごというよりストロベリーの匂いがしたので、ダウンジャケットを壁のジャケットかけのようなものにかけていただきながらストロベリーの匂いがしますねと訊いてみると、歯医者って独特の匂いがするでしょ、あれ、ホルマリンの匂いで、部屋は(ルームフレグランスで)どうにかなるけど私たちなんかはからだに染み付いてて、外でなんか病院の匂いがするって(見ず知らずの周りの人が)言ってたりして、わしじゃと思ったりして、とのこと。いまやっているNHKの「その時歴史が動いた」で富士山大噴火の復興において手抜き工事が行われたとのことで、それはまたすごいなあ、ということ。みつ君ちへアコースティックギターを返しに行って阪神電車で元町へ。無印でB5のノートと種なし★埋めとやわらかい種なし干し梅を買い串カツのまことでレンコンとアジとウズラとニクとイモとゲソとトリとタマネギとエビそれぞれ2本ずつとビール小ビンそれぞれ2本ずつでひとり980円ずつの支払い。ビールは嫌いだがここにきたら飲む。小ビンを1本飲んだがそんなに酔った感じはせず。強くなってきているのか。強くならんでもいいけど。飲んでも飲まなくても人生の楽しさは変わらないし。今度は黒ビールを試してみよう。2月1日から原材料高騰のため値上げするとのお知らせが貼ってあった。店を出てタワレコに向かうべく右に曲がりちょっと行ったところの自動販売機でみつ君がお茶を買っているあいだ、サンパルとダイエーのあいだの十字路の北東の角にある車止めというのかなんというのかよく分からないが、どこにでもあるコンクリートというか表面が石っぽい質感のあの円柱のようなもののコーティングというのか表面が剥がれていて中身が金属だったことを初めて知る。そのことに驚いていると十字路の北西の角にある吉野屋でなにか食べている若いサラリーマンにその様子を見られているような気がした。タワレコで500円だったのでショパンのピアノとかなんとかのCDを買う。歯医者が終わったあとにいったん家に戻る前にジジェクによるラカンの解説書(?)「ラカンはこう読め!」なるものが出版されていることをブックファースト六甲店で知る。長いまえがきの黒澤明羅生門」に関するくだりを立ち読みで楽しんだ。正しくは「スタジオパークからこんにちは」。


Mr. Children - Innocent World