今日は早起きしたわけではなくずっと昨日から起きていて、夏くらいからなんとなく中断していたレーモン・ルーセル「ロクス・ロルス」を読みながら8時くらいからうとうととリビングのイスで寝ていたら、点けっぱなしのテレビから桂南光さんの声が聞こえてきて、さっきは目覚ましテレビでお天気お姉さんの皆藤愛子さんを見ていたはずなのだが、桂南光さんの声が聞こえてきたことで、とくダネ!のあいだまるまる眠っていて音声は聞こえていただろうけど覚えていなくて小倉智昭さんを見逃したということに思い至って、そこからさらにうとうとして11時前に家を出て六甲病院へ向かい、受付を済ませて「ロクス・ロルス」を読みながら待ち、ちょうどいま保坂和志さんが「小説の自由」だったか「小説の誕生」だったかで引用していた脳になんらかの処置をされて生涯で一番印象深かったシーンを繰り返す死人のあたりで、外科の先生に口のよこの腫れというか膿がたまっている感じのやつを見てもらうと、こんなの初めて見たとか不安なことを言われ、以前同じようなものが後頭部にもできて、それはリンパ節の化膿だと別の病院では診断され、切開して化膿したリンパ節を切除した、と言ってみてその後頭部を見てもらうと、1年以上前の傷なのにしこりみたいになっているのはおかしいとかまた不安なことを言われ、穴を開けて膿を取り出す前になんか調べる方法がないかな、CTか、いや、エコー…、いやエコーじゃそのあたりの構造は分からないな…、という先生の独り言ののち、じゃベッドに横になってということで、太い針のついた注射で膿を吸い出される。で、それはそのまま検査に出される。そしてギュウギュウ患部を搾られるも、注射針の穴では限界があるらしく、ちょっと切るけどいけるか?と訊かれ、いけるか?と訊くくらいだからいけそうもないのか?と思い、麻酔なしですか?と訊いてみると、メスで切るのより麻酔の注射の方が痛いよ、と言われ観念する。でも結果的には、メスで切るのより、注射針で膿を吸い出すのより、ギュウギュウ患部を搾られるのがいちばん痛い。患部を掴みつつメスを入れたようで結局どれが切られた痛みかは分からずじまいで、原因不明の腫れができたその原因は、普通の人だったら放っといても治るのかもしれないけど、小田君は抵抗力が弱いのかもしれない、ということで、後頭部を見てもらった病院では、毛穴からごくありふれた細菌が入って化膿した、とのことだった。検査の結果が分かるのが約1週間後でその頃には治ってるけどね、細菌を殺す薬(抗生物質?)を1週間分出しておきます、と言いながら先生はコンピュータになにやら入力していて、コンピュータで受付や薬局やなんやかやが繋がっていて情報をやり取りしてるんですね、便利ですね、と言ってみると、エラーとかでなかなかこれはこれで面倒臭いらしい。こういうふうにどんな薬をいつ出したかとか患者さんの情報もいろいろ入っているんだよ、おっ、小田君、15年に血液検査してるね、と言われ、ああ、風邪で一回来ました、と言う。多分インフルエンザかどうかの検査をしたのだと思う。ベテラン看護士のおばちゃんに絆創膏がちょっとブサイクだけど明日はもう少しマシになると思うけど、とやたらに見た目を気にしていただくが、見た目はどうでもいいですよ、と答えながら、明日また午前中に来て、と言われる。診察室を出て、今日お風呂に入っていいかどうか訊き忘れたことに気付くが入らないことにして、清算をしにまた受付へ行き、しばらくして名前を呼ばれ4千いくらです、と言われ、うっかりまた手持ちがなく、明日午前中にまた来ますからその時でもいいですか、キャッシュカードでも支払いできますけどお持ちですか、りそなのやつならありますけど、ああ大丈夫ですよ向こうの機械にまず診察カードを入れ次にキャッシュカードを入れて清算するとお薬カードだか引換券だかが出るので、とのことで言われた通りにやってみるもうまくいかないので、その旨を伝えると、明日でいいですけど千円も持ってませんか、持ってません、というやりとりを経てなんとなくその一件は終わっていて、しばらくイスに座ってNHKでやっていた福岡の魚市場の中継を見ながら待ってみたが、なんとなく薬はくれないっぽいので、なんとなく病院を後にした。いま思ったがというかそのときも思ったが、切った後に抗生物質を飲まないのはけっこうまずそうで、またなんかごくありふれた細菌とかに再感染するのだろうか。でもいちいち「受付の人」に言うのはものすごく面倒臭いのでそのまま病院を後にする。別にこの病院とか病院に限らず、自分の仕事しかしないというかそれ以外に意識の働きようもない「受付の人」(というよりも極度に細分化されたジョブ(まさにジョブ)の担い手)という存在にものを説明するのは本当に面倒臭い。そんな受付なら機械でもできそうだが、実際に六甲病院には自動受付機みたいなのが2台ある。プログラムされた通りに効率よく診察室に情報を送ってくれるのだろうか。というかお金を払わないのなら薬も出せませんとか言われたら割とショックを受けそうだったので。たぶん言えばくれたと思うけど。というような迷いそのものがたまらなく面倒臭い。