内田樹岡田斗司夫の対談本「評価と贈与の経済学」、書名には経済学とありつついわゆる経済学ではないけれど、オタキングこと岡田斗司夫の話が面白い。特に若者についての話には身に覚えがあるものが多々。この人、藤井のなっちゃんが面白いと言っていて気になったのだけれど、たしかに面白い。それでいて、若者についてただ分析・指摘するだけじゃなくて、若い人をどうにかしてあげたいというか、具体的に関わりたいという気持ちが感じられるので、なんだか好感が持てる。あと中盤に出てくる「拡張型家族」の話は、櫨畑のあっちゃんに読んでもらうと面白そうだ。後半、教育の話からつながるかたちで、内田樹が、後続する世代に対する敬意の話をしていたけれど、ここ何年かばあちゃんと接するなかで「目の前の相手に敬意を持って向き合う」というのはどういうことなんかなというのが気になっているので参考になる。目の前の相手について、一人の人間として見ているか、それともなんらかの役割とか立場として見ているか、なんとなく伝わっているような気がする。なんというか、自分なりの理由でもって相手に敬意を持っているかどうかというか。たとえば、うちのばあちゃんについて、重度の認知症のお年寄りである、よって「ケアを受けるだけの弱い存在」である、みたいに考えると、一人の人間に対する敬意を持てなくなるだろうし、相手にもそれは伝わる。たぶん。かといって自分がばあちゃんをどう捉えているか言葉にするのはなんかむずかしい。ばあちゃんがいなければ自分もいないとか、86歳のいままで生きてきたのがそもそもすごいとか、挙げればいろいろ挙げられるが、どれもなんかしっくりこない。認知症であるとはいえ、ばあちゃんは私たちと同じように常にいろいろ感じ考え、話したいこと訴えたいこともたくさんあり、それを真面目に受け止めないのは、なにか人間として失礼に当たるような気がする、というのが、いまのところ近い答えのように思う。だから、自分のばあちゃんに限らず、他のじいちゃんばあちゃんにもこれは当てはまる。