もはや誰かの作品を消し去ることも芸術になるよと言っている人がいて、「芸術」外のルールとして犯罪になってしまうことを除けば(まあ芸術って場合によっては芸術外のルールから作品を守ろうとすることもあるだろうけれども)、それはそうかもしれないけれども、それをするなら芸術としてではなくて、記録も残さず告知もせず、ということはこういう場合には記録や告知によって作品になるというわけで、その行為自体が作品になることをきちんと避けて誰かの作品を消し去ることの方が面白いんじゃないかなあ、つまり芸術じゃなくてあくまで犯罪としてやる方が、とはいえそれ(誰かの作品を消し去るという行為の芸術化に逆らう)は無理だけど(自分が避けようとしても誰かが芸術として位置付ける可能性は残る)、とだけ言っておいたけれども、なんなら、作られたものを消し去るのではなくて、今から作られるかもしれないものを消し去るということで、「作品を作る人」ひとりひとりに「作品を作るのをやめましょう」と説得して回るとか、そういう団体を作るとか、という方法もなくはない。しかし考えれば考えるほど、つまらないことだ。当該ジャンルには留まりつつ、それを否定する素振りを見せながらメタの位置に立って主導権を握ろうとする愚かしさ。