先週か、元町映画館で「ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区」を観た。アキ・カウリスマキが好きなのと、「ご当地映画を撮れ」という依頼に4人の監督がどう応えているか気になって、観た。ご当地=特定の場所に強く関連付けられた=サイト・スペシフィック、な作品は映画に限らずいろいろ難しいと思うのだけど(場の読み込み方とか、関連のさせかたとか)、さすがに4人それぞれにきっちりと場所にアプローチしていて、興味深く観た。「ギマランイス地区がテーマだから(こそ?)、ギマランイス地区で撮影したくない」というペドロ・コスタのひねくれ具合がよくて、その結果できたのは、停止した病院のエレベーターのなかで主人公と亡霊らしきものがポルトガルの「カーネーション革命」を巡って対話するという凝った設定のもの。「サイト・スペシフィック」ということでいえば、ビクトル・エリセのものが面白かった。かつて栄えた紡績工場(今は荒れて「割れた窓ガラス工場」と呼ばれる)の食堂に貼られた、当時の食堂の写真の前で、かつてここに勤めていた人たちが7〜8人くらいだったか、当時のことを語る。昔のことを語りながらも今の感じも見える。昔は貧しかったがいまは豊かそうな人もいれば、そうでもない人もいる。それぞれ順番に写真を背景に語っていたのが、最後のあたりでまた最初の人から順に今度は写真の方を向いて写真を見てどう思うかを短めに語る。最後はアコーディオン奏者(この人もこの工場に縁がある。祖父と父が働いていた、やったか)の演奏が流れるなか、写真のいろんな箇所のアップが続いて、終わり。その場所に縁のある人たちへのインタビューが続いていくだけといえばそれだけのもので、別に目新しくはないんだろうけど、自然に話をしてもらうのも難しいだろうし、それぞれの話をどういうふうに関連付けるかとか、全体としてどういう意味が生まれてくるかとか、単なるインタビュー集にしない工夫も難しいと思う。