友人であり同志でもある竹内光輝君のソロCDR
「ある時間の中での配置という行為」が完成した。
元々は2003年に作られた自主制作盤
さらに自主制作で再発したもので
ミキサー、コンピュータフィードバック以前の
自作ソフトウェアによる即興。


以下、その作品に寄せた文章。

「音楽は集中して聴かなければならない」
といったような考え方にはいささか辟易している。


なぜか。


おそらくはその言葉の響きになにやら聴覚的精神論
とでもいうようなものの存在を感じるからだろう。
もしかしたら、普段「ながら聴き」ばかりしているせいで
音楽だけを集中して聴けないことへの劣等感なのかもしれない。


だがよくよく考えてみると
ある音から聴取を通じて自分の中にどういった価値を生成するか、が
問題なのであれば、なにも聴取の方向をひとつ(集中して聴くこと)に
限る必要もないはずである。
聴取もまた創造的な行為であるのであれば
もっといろんな方法があってもいいはずだ。


そのような意味でこの作品は
「集中して聴くこと」とは反対に
「ぼんやりと」「何か別のことにも意識を向けながら」
聴くか聴かないか定かではないくらいの
意識のレベルで聴くことも許容できるもの
であるように感じた。


この作品をCDプレイヤーで再生しているあいだ
時折聴こえてくる電子音は
庭の木に鳥がやってきたり
隣の家から食事の用意をする匂いがしてきたり
窓から陽の光が差し込んできたり
そういうちょっとした出来事のひとつだと捉えれば
少し世界の見え方が変わってこないだろうか。


2006.5/28
小田寛一郎


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