思い出しながら最近観た演奏について。


10/16
神戸市立博物館
Manfred Werder 「2performers pages 100-265」


ヴァンデルヴァイザー楽派の一員で作曲家でありピアニストでもある
マンフレッド ウェルダー氏の500ページ(だったと思う、確か)
あるという曲の一部の演奏。
(パンフレットに楽譜の一部が載っていたのだけれど
5×8のグリッドに沿ってに発音の間隔と演奏者の指定がしてあるものだった。)
10時、12時、14時、16時と4回あったうちの14時と16時を観る。


演奏者は
ユルゲンクルーシェ(シュルティーボックス)
田島和枝(笙)
マンフレッドウェルダー(マウスオルガン)
の3名で実際に演奏するのは2人。
回ごとに組み合わせを変えて行う。
僕が見たのは田島和枝とマンフレッドウェルダー、
ユルゲンクルーシェと田島和枝の回。

6秒を一つの単位として単純に音のある/なしを繰り返すものだが
そのパターン(というか組合せ)はもちろん一定ではない。
2人の演奏者の音が絶対重ならないのもミソだろう。


なんとなく聴くともなしに聴いていると
音楽で表現されているものを味わうというより
その場、その空間にいる事自体を楽しめるようになってくる。
この時僕にとっては演奏者の音もその他の話し声や足音なども
ただ「ある時間の経過」としてのみ聴こえていて
これは「周りの環境音も演奏の一部として聴こえる」
ということとはまた違った体験であったように思う。
海とか風に揺れる木の葉などをボーッと見ているのに近い感触。
もちろん音から受ける直接的なイメージではなくて行為として似ているだけ。
一回目の演奏の後、マンフレッドさんにこのことを
伝えようと思ったのだが、正確に伝えることはできなかった。

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10/22
築港赤レンガ倉庫212号
festival de improvisacao


山内桂 reeds
古池寿浩 trombone
西出剛大 guitar
竹内光輝 mixing-console
BUN guitar
小島剛 laptop
江崎將史 trumpet,metals


途中夕飯をはさみつつ(!)のいろんな組合せでの即興演奏。
数が多くて全てのセットを覚えているわけではないので
適当に今でも思い出せる印象を箇条書きで。


・古池さんは名前は知っていたが演奏は初めて聴く。
非常に良かった。たまに出すマヌケな音があまりに素晴らしい。


・山内さんはCDで聴いてはいたし
吉村さんから「最近はもっとすごい」との話を聞いていて
期待していたのだが、そこまで印象には残っていない。
ただ今思い出せないだけかもしれない。
息音の合間から聴こえてくる切れ切れの音が
最初どこから聴こえてくるか分からなくて面白かった。


・BUNさんはとにかく主張が強い。けど自由な感じはする。


・前々から思っていたけど江崎さんの柔軟性はすさまじい。
引き出しが多いというより、いい意味でなんでもあり。
トランペットでの演奏も、普通の単純なロングトーンをいきなり吹くという
これまでとは違う要素が出てきていてとても興味深かった。


・西出さんはシンバルを挟んだギターの弓弾きの他に
カセットレコーダーをガチャガチャやって
ノイズを出していたのを覚えている。
割と熱く演奏するタイプのようだった。


・小島さんのラップトップは
いろんな文脈をサンプリングして
自由に引き出せるジュークボックスのようだった。
残念だけれど悪い意味で。
音の処理の仕方があまりに見えすぎるのも辛かった。
(僕もmax/mspを使っているのだが多分それだけではないだろう)
こういうラップトップの使い方からは離れていっているので
その分マイナスイメージを持って聴いてしまい
申し訳ないとは思うのだが、それはそれでしょうがない。


・みつ君の演奏は本人もそう語っているように
あまり良くはなかったかもしれない。
ちょっと優柔不断な感じを受けた。
山内、江崎、竹内トリオはなかなか良かったと思う。